2010年12月23日

京品ホテル争議(弁護士懲戒請求書)

懲戒請求書


平成22年11月15日

第二東京弁護士会 御中

懲戒請求者 ○○○○
   同    ○○○○
   同    ○○○○
   同    ○○○○

被調査人 弁護士 O(第二東京弁護士会所属)
被調査人 弁護士 I(第二東京弁護士会所属)

請求の趣旨


被調査人らの懲戒処分を請求する。

懲戒の理


第1、当事者
1、懲戒請求者ら
(1)
 懲戒請求者らは、2008年4月から2010年1月29日まで継続した品川駅前東口にある京品ホテルの閉鎖をめぐって労働争議を闘った東京ユニオン京品支部の代表者、支部長並びに支部役員らである。
(2)
 京品ホテルの従業員であった懲戒請求者らは、労働争議の経験がなく、紹介者から一般労働組合である東京ユニオンを紹介され、同ホテルの経営者らが事業閉鎖・社員の全員解雇方針を出したことに対して、上記東京ユニオンに京品ホテルの従業員らを加入させ、同ユニオンの指導の下に、団体交渉、自主営業闘争、労働委員会闘争、裁判闘争を支部役員として主導的に闘った。

2、被調査人両名
 被調査人両名は、東京ユニオンの紹介で、同争議に関わる仮処分、労働委員会の組合側代理人、地位保全・賃金仮払の仮処分や、雇用関係確認等請求事件の原告代理人らとして、組合方針に従って、労働委員会・裁判所の場において、労働者・労働組合側代理人として行動した者らである。

第2、京品ホテル闘争の経緯
(1)
 懲戒請求らは、労働争議の経験はなく、2008年5月1日の東京ユニオン京品支部の設立以降、東京ユニオン本部の指示に従い、会社との団体交渉や抗議行動に参加し、全員解雇が強行された同年10月21日以降は、自主営業をはじめとする解雇撤回闘争に組合員として参加してきた。しかるところ、2009年1月25日には、京品ホテルの自主営業は、立入禁止仮処分事件の決定に基づき、強制執行により排除され、組合員の生活の糧を得る術を喪失した京品支部は、約70名いた組合員中、多くが生活の糧を得るため、闘争への継続的関与が不可能となる中で、東京ユニオン本部の指示に基づき、懲戒請求者らを含む主要組合員17名が、同闘争支援者らのカンパによる基金から生活費の貸付を受け、また2009年5月からは、ワンコイン弁当の販売等により収入を得て、闘争を継続してきた。
(2)
 2009年10月23日に及んで、使用者であった京品実業株式会社に破産手続開始決定がなされる中で、11月5日以降、東京ユニオンは精力的に破産管財人と団体交渉をなし、ホテル業務の再開と、京品ホテル従業員の雇用を要求した。しかし、局面打開が図れない中で、同年11月には17名の主要な組合員を抱えての闘争継続が困難となる中で、東京ユニオン本部は、原告代表者や支部長には、これ以上支援基金からの借入れ等で組合員の生活を維持することが困難として、新たな就業先を捜すことを勧める一方、支部代表者、支部長らに何らの相談もなく、7名の組合員を専従者として指名し、月額15万円の収入を保障して闘争継続を図った。
(3)
 2010年1月10日に至って、被告東京ユニオン本部は、ホテルの業務再開と雇用の不可能が確実視されるに至ったとして、専従者7名と支部代表者○○が出席した「支部会議」と称する会議の席で、職場再建に代えて職場再建に替わる金員要求に切り替える方針を示し、同会議出席者らはこれに同意した。
(4)
 東京ユニオン本部は、京品実業の管財人との団体交渉を繰り返した末、同年1月29日、雇用関係確認事件の原告らに金5000万円、利害関係人である東京ユニオンに解決金として金7500万円を支払うとの裁判上の和解を成立させた。
 この「和解金額」並びに、金銭の本件原告ら懲戒請求者を含む支部組合員らと東京ユニオン本部への「割り振り」については、事前に京品支部代表者や支部長、幹部らに何らの相談はなかったし、裁判上の和解の席でも和解条項の読み上げが省略され、支部代表者らに伝えられることはなかった。
 なお、上記雇用関係確認訴訟や、東京ユニオンを申立人とする不当労働行為救済申し立て事件について、被調査人らが打ち合わせをしたのは、専ら東京ユニオンの委員長・書記長に止まり、事実確認や打ち合わせは専ら東京ユニオン専従者との間で行われた。
 これは、いかに京品実業の従業員であった懲戒請求者らが、東京ユニオン京品支部の組合員であったとはいえ、過度の労働組合依存であり、非弁提携(弁護士法72条)の温床となりかねない行為である。
(5)
 被調査人は、同裁判上の和解について、同訴訟の原告ら並びに利害関係人東京ユニオンの双方の訴訟代理人として、同裁判上の和解を成立させた者らである。

5、解決金の振り込み
 同雇用関係確認事件の裁判上の和解により、2010年4月上旬頃、原告宛解決金金5000万円並びに、利害関係人東京ユニオン宛解決金金7500万円が、いずれも被調査人弁護士Iの銀行口座宛振り込まれた。

6、訴訟の原告らとの話し合いなき東京ユニオンのみの弁護士報酬の決定と受領
 上記雇用関係確認事件の原告ら並びに京品支部の代表者らは、本件争議の解決金として1億2500万円が支払われ、ホテル売却後10日以内に同金員が代理人弁護士宛支払われることを伝えられたにすぎず、同金員が原告ら並びに東京ユニオンへ振り分けられて支払われたことさえ知らなかった。
 その後、被調査人Iの口座に振り込まれた上記金員は、いずれも雇用関係確認事件の各原告らの意向や、本件懲戒請求者らである京品支部代表者、支部長ら懲戒請求者らに何ら知らされることなく、全て東京ユニオン宛払い渡され、また、弁護士費用さえも、上記雇用関係確認訴訟の原告であった懲戒請求者ら京品支部の役員らに何らの連絡もないまま、東京ユニオンと被調査人らとの間で合意がなされ、金1250万円の弁護士費用が支払われていることを後日、京品支部の組合員並びに懲戒請求者である代表者、支部長、役員らは知らされた。

7、東京ユニオン本部の民主的手続きを欠いた「職場再建基金」の取上げト分配決定
(1)
 東京ユニオンは、他の争議についても、使用者から支払われた解決金について、当該支部組合員に対してわずかの金員しか分配せず、当該争議組合支部の組合員らと紛争を起こした経歴のあるユニオンであるが(明石書店争議における残業代金)、本件解決金についても、@原告らへの解決金分配は、全て東京ユニオン本部の指導によって闘い取ったものである以上、東京ユニオン本部において決定することができるとし、東京ユニオン本部が闘争最終段階において一方的に指名した7人の専従者のみに手厚い解決金分配案を示した他、A東京ユニオン宛支払われた解決金につき、ユニオン本部に要した費用等として3500万円を受け取る他、その余の4000万円については「職場再建基金」として、組合本部において使用すると主張し、本来職場再建の利益に与るはずの、京品支部組合員への分配を拒んだ。
(2)
 東京ユニオン本部は、2010年4月10日、京品支部大会を開いて、上記のような解決金分配案を提示したが、支部組合員らの承認するところとはならず、続会となった同年4月24日の大会でも、その承認を得られなかった。
(3)
 このような中で、支部代表者等である懲戒請求者らは、弁護士Kに依頼し、2010年5月8日に被調査人弁護士Oの立会のもとで話し合いをし、話し合い継続を合意し、その後同年6月20日には、支部代表者ら作成に係る分配案を作成するなどして、臨時支部大会にかけたが、東京ユニオン本部の承認するところとならず、また、その後7月27日には支部代表者ら代理人である弁護士K作成に係る分配案を示すなどして調整を図ったが、東京ユニオン本部は、解決金分配について、あくまで自らが一方的に指名した専従者への偏頗な分配を主張し、また、金4000万円の職場再建基金については、全く支部組合員に分配しないとの方針を改めず、交渉は決裂した。
(4)
 また、同交渉の決裂に先立って、支部代表者ら代理人である弁護士Kが弁護士Oに連絡をしたが、同氏は、@東京ユニオンは、争議の解決・解決金の分配も含め全て京品支部の組合員から委託を受けている。A委任を受けている以上、訴訟の原告らの意向を確認することなく、被調査人が解決金の一切を東京ユニオンに支払ったことは何ら問題はない。B和解案では、5000万円は原告らへ、7500万円は東京ユニオンへと分配されており、東京ユニオンへの解決金が職場再建に用いられる以上、何ら問題はない旨主張して、東京ユニオン本部を擁護する姿勢に終始した。
(5)
 上記に基づき、懲戒請求者らと東京ユニオンとの交渉は決裂し、東京ユニオン本部は2010年10月2日の本部大会決議をもって、支部組合員らの意向を無視した5000万円の分配を強行し、支部には独自の法人格がない以上、4000万円の分配は困難であるなどとして、支部組合員の弱点に乗じ、金4000万円の職場再建基金を、自らの組合活動費用として用いる一方、上述のような偏頗な分配を支部組合員らに押しつけて、これに応じない限り解決金は支部組合員に対して払えないと圧力をかけて、ユニオン本部分配案をのませて、闘争終結をせんと図っている。

8、原告らの同意を得ない闘争解決金の東京ユニオンへの引き渡し
 このような不公平な結果が生じたのは、被調査人らが弁護士として、原告(実際には支部組合員ら)と利害関係人である東京ユニオンが、同一人格ではなく、利益相反関係に立つ可能性がある以上(しかも東京ユニオンは、既に他の争議で争議組合支部組合員らとの間で、解決金に関する分配紛争を起こしてきており、悪評を得ていたユニオンである。)、その解決金を引き渡すについては当然に原告らないし原告代表者らの意見を聞き、その引渡しについて利益相反の可能性を十分認識した上、その金員を引き渡すべきところ、そのような利益背反への何らの配慮もなく、全て原告らからの委任を受けているとして、原告に名を連ねていた京品支部の役員である懲戒請求者らに何ら声をかけることもなく、東京ユニオン本部とのみ、解決金の引渡し並びに報酬の支払につき協議をした上、その余の解決金の支払をなしたものである。

9、結論
 このような被調査人らの行為は、直接の依頼者である労働組合にのみ依存して、直接の依頼者である京品支部組合員らと直接打ち合わせ・報告・連絡をしてその承諾を得るという委任契約の基本業務である報告・連絡義務を怠り(民法645条)、依頼者の意思を確認しないまま、専ら東京ユニオン本部の意思に沿って事件を処理することによって、受任者に対する善管注意義務、忠実義務にも反し、更には京品実業破産管財人からの受取物である闘争解決金について、雇用関係確認訴訟の原告に名を連ねていた京品支部役員であった懲戒請求者らの意思を確認しないまま、原告ら宛解決金についてまで漫然と東京ユニオン本部に引き渡してしまったもので、民法646条の「受取物の委任者への引渡義務」にも抵触する。
 そもそも本件のように、「同一の事件について複数の依頼者があって、その相互間に利害の対立が生じるおそれがあるときは、事件を受任するに当たり、依頼者それぞれに対し、辞任の可能性その他不利益を及ぼす可能性のあることを説明しなければならない。」と弁護士職務基本規定32条には規定されているにも拘らず、雇用関係確認事件で東京ユニオン本部を利害関係人として裁判上の和解に参加させて和解するに際して、予め和解金額や、「原告」と「利害関係人東京ユニオン」への解決金の割り振りについて、京品支部の組合員を代表する立場にある懲戒請求者らに何らの相談もなく、更には裁判上の和解の席でも、和解条項の読み上げを省略し、和解調書正本の写しについても、利害関係人東京ユニオンに手渡したに過ぎず、更には「原告宛の解決金5000万円」までも、京品支部を代表する立場にある原告らに一声もかけず、承諾を得ないままに東京ユニオン本部宛引き渡したことは、弁護士職務基本規定32条に反する行為である。
 如何に雇用関係確認訴訟の原告の多くが京品支部組合員であったとはいえ、これを「組合支部」と「組合本部」との間に委任関係を認めたとしても、余りにも野放図な包括的委任は、非弁提携の温床ともなりかねないと言うべきである。(現に東京ユニオンは弁護士報酬を上回る「職場再建基金」のユニオン本部による取得と、闘争解決金の分配決定権限を主張している。)
 以上のとおり、被調査人らの行為は委任に関する民法645条、646条に反するばかりか、弁護士職務基本規定第32条にも反するものであり、懲戒請求者らは、被調査人ら2名の懲戒を求めて、本申立てに及ぶ。

(以下、省略)
posted by 御多福 at 16:09| 山形 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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